初めて知った時、誰かの撮った美しい写真を見たんです。
情緒たっぷりの街並みを見ながら、川のほとりで水中に咲く花を見るなんて、すごくシーズンイベントらしいし、夏の暑い中、水辺でそんな風に過ごせるなんて、なんて贅沢なんだろうと思いました。
梅花藻を滋賀まで見に行ったきっかけは、そんな感じ。
今までも、家でメダカの飼育やその他のお魚を飼って居たりして、水槽を置いていた時期があったので、アクアリウムの猛者が作る幻想的な水草のを見たり、その中にお花が咲く種類のものがある事は薄く知っていました。
だけど、私の一番よく知っている川は、大阪の淀川で、近くまで行っても、水が濁っていて透明では無いし、自然の中でのそんな状況は想像が付かず、水中花と言えば、おばあちゃんが集めて飾って居たようなキッチュな造花がガラスのドームに入っている昭和の納涼アイテムでした。
今は、昔よりもグッとおしゃれなハーバリウムのインテリアボトルやプリザーブドフラワーなど、生活の中にお花を素敵に飾る方法が色々ありますが、自然の中で、時期を逃すと終わってしまう、限りある生花に魅力を感じます。
梅花藻が滋賀の綺麗な川に咲き揃う時期をひと目見てみたくて、出かけてきました。
梅花藻は滋賀のどこで咲く?
今回訪れたのは、醒井という米原市にある場所です。
江戸時代に整備された五街道の1つ、中山道の宿場町、醒井宿。
醒井という名前は、日本武尊(やまとたけるのみこと)が、体を癒し、高熱が冷めたと伝えられる居醒の清水に由来します。
居醒の清水を源流とした地蔵川には、清流でしか育たないと言われるバイカモが群生し、例年、7月下旬から8月下旬にかけて見頃を迎え、散策を楽しむ多くの旅行者や観光客で賑わいます。
梅花藻の滋賀県の名所として、宿場の情緒溢れる街並みの風景とともに地域の人たちに愛されています。
宿場町って?
宿場町と書いて、しゅくばまち、と読みます。
宿、宿駅とも呼ばれ、平安時代から利用されていましたが、徒歩や馬での移動が主だった江戸時代に街道が整備され、それに伴って発展した集落です。
遠方まで荷物を運んで行くための基地のようなもので、街道の拠点であり、ここで、荷物を運んできた人が宿屋に宿泊して休んだり、次の宿場まで運ぶ荷物を乗せ替えたり、荷物の受け付けたりしていた場所です。
受付していた施設を問屋と言い、醒井宿には全国的にもめずらしく、当時宿場を切り盛りした問屋場(といやば)が昔のままの姿で残っています。
梅花藻で滋賀県米原市醒井に訪れる際は、江戸時代のままの形で現存している貴重な問屋場は、昭和48年まで郵便局として使用されていましたが、今は醒井宿資料館として公開されていますので、見学に寄ってみてはいかがでしょうか。
梅花藻の滋賀県米原市って?醒井って?
米原市は県内北東部、湖北地域に位置する市です。
手付かずの自然が豊富に残っているエリアで、高山植物の宝庫、伊吹山や、ゲンジボタルの群生が見られる天野川、三島池などが観光スポットとして有名です。
中山道と北陸道の分岐点として古くから発達した交通都市。
梅花藻の滋賀県米原市醒ヶ井は、湧水地帯です。
霊仙山のうるしが滝、枝折川の源流、名水・天神水と呼ばれる湧水や、イボが取れるという伝説が残る、いぼとり水、県内と岐阜県にしか生息していないハリヨなど多くの自然資源が、周辺の風情ある町並みの中に息づいています。
梅花藻で滋賀に行ってきた感想
実は2021年に2度、車でドライブしています。
1回目は思い立って勢いで出かけた為、おでかけプランなどは無く、その時見た情報では、見頃はともかくとして、花期自体は5月中旬から9月下旬と、わりと長くあるみたいだったので、とりあえず着いたら見られるだろう、ぐらいに気軽に出発してしまったんです。
ナビの設定も、特に調べず、川だから分かるだろう、と。
梅花藻を滋賀まで見に行くことは分かっていたけれど、せっかくだからと通り道の京都で好きなラーメン屋さんに寄り、草津や黒丸のサービスエリアを覗いて、なんやかんや食べ、ちんたら向かったんです。
その結果、滋賀に入ってもなかなか川まで辿り着けず、土地勘もないので、周りの景色にピンとくる事もなく、迷いに迷って、なんとか辿り着いた頃には日は落ちて真っ暗。
公式ではライトアップも時間や期間限定であるそうなのですが、タイミングを外していて、だけど、ちゃんと咲いてました。
梅花藻は滋賀で真っ暗な中咲いてました。
灯りがあるわけではないし、周りは静かな歴史ある街、お店が遅くまで明るいわけでもないので、夜お花が閉じないで咲いててくれただけでもヨシなのかも知れないけど、とっても残念で、リベンジを誓ったのです。
かかった時間を思うと、何しに行ったか分からないし、ホテルで一泊するとか、車中泊か、なんて考えたのですが、何の用意も無いし、明日のことも気になったりで、泣く泣くまた長い時間をかけて帰りました。
2回目は、明るい内に着きたいと、ちゃんと計画して余裕を持っていきました。
長めのドライブに備え、遠足用お菓子をたっぷり用意して、途中の京都でまたラーメンたかばしに寄り、せっかくだから郷土菓子をと草津のうばがもちやで、草津名物のうばがもちを購入。
姥が餅は、小さいあんころ餅といった感じのお餅で、北斎が浮世絵に残し、家康さんや芭蕉さんも食べたらしい400年を超える伝統があるおやつです。
梅花藻で滋賀に初めて来た時と比べ、川沿いにはカメラを持って真剣に撮影に取り組む人たちや、散策を楽しむ県外から来たっぽい観光客、近隣の家族連れなどで賑わっていました。
無事明るい内に到着した地蔵川は、幸いよく晴れて青空、遠くの山の緑色も綺麗に見えて、日焼けが心配になるぐらい良いお天気に恵まれ、緩やかな川の水面はキラキラと光を反射して、その中を白くて可憐な小さな花が無数に咲いています。
花を支える葉っぱ?藻の部分も、鮮やかな黄緑色がとても涼しげでした。
近所のお店も営業時間で開いていて街並みもいい雰囲気、公民館のところのトイレも利用できます。
前回は真っ暗で気が付かなかったけど、川沿いのヤマキ醤油の店頭にも少しバイカモが花を付けていました。
小さな川は、花のすぐ近くまで降りられる様になっていて、触れるぐらいの距離で鑑賞しましたが、ウメの花というよりは、苺の花に似ているように個人的には感じました。
レンズを向け写真を撮るのに熱心なあまり降りられるゾーンを長時間独占状態にしている撮影の方や、散策の邪魔になる路上駐車なども見受けられましたが、楽しみたい気持ちはみんな同じ、マナーを守って気を付けましょう。
梅花藻を滋賀に見に来たら、特産品や地元の野菜の販売、豆腐作り体験ができたり、宿場料理やバイキングが人気の道の駅な拠点・醒井水の宿駅や、駅前立地の古民家風カフェかなやkitchen、虹鱒料理が楽しめる風情ある佇まいの本陣樋口山、醒ヶ井の湧き水、名水・居醒の清水で仕込んだお醤油や、しょうゆソフトクリーム、しょうゆプリンなどが食べられるヤマキ醤油の醤油屋喜代治商店など、気になるグルメスポットもちょこちょこあって、カフェやランチには困らなそう。
ソフトクリームは、ご当地ソフトとして、中山道沿いの丁子屋という和菓子屋さんが、オリジナルのバイカモソフトクリームを販売してるそうなので、そちらも興味津々。
時間の都合で今回は頂きませんでしたが、ニジマスって食べたことが無いので、一度食べてみたいです。
そうそう、川では、貴重な淡水魚、ハリヨも観察できます。
サラダパンがご当地パンとして有名な、つるやパンと白鬚神社に寄って帰りました。
ハリヨって?
針魚と書きますが、針魚と呼ばれる魚は、2種類居ます。
針魚と書いてサヨリと読む、お馴染みのサヨリと、同じように針魚と書き、ハリヨと読む、絶滅危惧種のお魚です。
梅花藻を滋賀に見に行ったときに泳いでいるのはハリヨのほうです。
絶滅が危惧される希少なお魚なので、この機会にぜひ探して見てみることをおすすめします。
最大でも全長7cmほど、大体はそこから-2cmぐらい、約5cm前後の小魚です。
梅花藻を滋賀に見に行く際の注意点
大雨の後は花が散ったり、地蔵川の水が増えてしまっていて、鑑賞に適しません。
特に東京、横浜など関東や、さらに遠方の北海道や九州、福岡、海外などからツアーや航空券などを手配される方は、予定日の天気予報もチェックしておきましょう。
梅花藻の滋賀での見頃のベストシーズンであっても、テレビで特集されるような時期であっても、大雨が降った日の後は期待の絶景や狙っている風景が見られない可能性があります。
関西など国内近県からの方や、琵琶湖周辺、長浜などから来る地元地域も、足を運ぶ際は天候を少し気にかけて出かけたほうが、良い状態で見られます。
旅行サイトの実際行った人の投稿や近所の読者さんの口コミ、ブログなども参考になります。
平成の名水百選☆
梅花藻が滋賀で美しい光景を見せ、絶滅危惧種の針魚が涼しげに泳ぐ姿を見せる地蔵川。
米原市醒井の加茂神社に湧き出るこの川の水は、居醒の清水と呼ばれる名水で、2008年、平成の名水百選の1位に選ばれています。
居醒の清水の読み方は、いさめのしみず。
平成の名水百選というのは、2008年に、環境省が日本全国の名水を100か所選定したものです。
湧水、河川、地下水などから選ばれ、1985年に当時の環境庁が選定した昭和の名水百選とはかぶり無しなので、両方合わせると200選になります。
主観ですが、そんなにたくさんの中から1位になるお水は、沖縄の離島や秘境の山奥のものだと思っていました。
梅花藻を滋賀に見に行くと、人気の観光地という感じで、るるぶなんかの有名旅行雑誌やトリップアドバイザーなどのトラベルサイトでも、会員登録したメンバーさん、メールアドレスでログインできるアカウントIDを持っている人たちが、近江旅の感想を寄せているほどです。
TripAdvisorのページ内にも、満足度や問い合わせ先電話番号、注意点や滞在時間、料金や2019年、2020年の開催中の様子など、多くの意見が情報とともに紹介・提供されていました。
もちろん地域の観光協会の協会からのデータも誰にでも確認できますし、お願いや現在の様子なども詳しく見ることができる観光スポットです。
都心部では無いとは言え、まちなかで、電車の駅も近く、建物もたくさん建っていて、個人のお宅から神社、郵便局など、車や人の通りも普通にある場所ですし、夜はライトアップが始まれば、必然で長い時間周りに人が集まりますよね。
ピンク色の桜がきれいな時期や、ばいかもの見ごろのシーズンには小さな梅の花のようなめずらしい水中花をひと目見ようと、遠方からも男性女性問わず訪問者が観賞に訪れる大変混雑する川なのに、きれいな水はずっと大切にされているんだと思うと、こちら側としても気が引き締まります。
梅花藻を滋賀に見にくる人だけじゃなく、醒井延命地蔵尊などのパワースポットもありますし、写真を撮る人などは、造園業者さんが入って整えられた名木やお庭と合わせて撮影したり、百日紅が咲けば、またその花弁が川に落ちる姿をファインダー越しに覗いたりと、何度もカメラを持って訪れるんだとか。
平成の名水百選では都道府県から最低1つは選出するなどの縛りが無いため、北は北海道、東北地方は、青森、岩手、山形、福島、と順に並び、関東・甲信の千葉、神奈川、埼玉、山梨ほか、北陸、東海、近畿、中国・四国の鳥取、島根、広島、山口、香川、高知、愛媛、南部の九州地方の、熊本や宮崎、鹿児島、沖縄まで、ざっと網羅しているように見えますが、実は名水が1つもない府県もあるんです。
名水が1つもない府県もあるというのに、そんな中でこんなに人が集まる場所が、きれいだと認められるというのは、地域の方達の努力の賜物ですね。
梅花藻の滋賀・地蔵川へのアクセスや駐車場
駐車場はJRの駅前に醒ヶ井駅前駐車場があります。
駐車場は収容台数が限られますが、24時間利用でき、1日最大600円、最初の30分は無料です。
梅花藻が滋賀で楽しめるシーズンには、普段なら臨時駐車場が設けられるようなのですが、このご時世で2021年は用意が無い様でした。
米原ICから、駅前Pまでは5分ぐらいです。
カーナビに住所でセットするなら、醒井水の宿駅の住所、滋賀県坂田郡米原町醒井688-10を目指していけば駅や駅の駐車場も近くです。
そこから、お花の場所までのルート案内をセットするなら、醒井公民館を目指すとちょうど花が咲いている辺りに行けます。
電車なら最寄りは醒ヶ井駅☆周辺マップも手に入れよう
私たちはドライブで向かいましたが、公共交通機関をご利用の場合でも、駅から徒歩で10分かからないほどの近くでです。
醒ヶ井駅下車で、地域の名産品やご当地のお土産を歩いて見て回るにも、レストランやスイーツなど付近に並びでお店があって散歩道をのんびり楽しめます。
梅花藻を滋賀に鉄道で見に行く場合は、最寄りの駅はjr東海道本線の醒ケ井駅です。
読み方はサメガイ。
駅近くの醒ケ井駅行政サービスセンターでは、ラックに周辺の観光マップが設置されています。
ガイドマップを持っていない方も、七湧水めぐりや散歩道を楽しむ前に、地図を手に入れておくと便利です。
次回訪れる際や、思い出を振り返ったときなどにも、順路をたどる手がかりになるかも。
梅花藻☆滋賀の川に咲く水中花
花が咲く水草なんだな、ぐらいは分かるけれど、植物的にはどんな植物なのでしょうか。
別名を「ウメバチモ」とも呼ばれ、イチョウバイカモの変種の一種です。
キンポウゲ科キンボウゲ属の多年草の水草で、冷たくて流れのある清流に育つため、水槽で育てるのは難しい植物です。
地蔵川は湧き水で出来た川で、水温も年間を通して14度前後で安定しているので、ぴったりの生育場所なんですね。
梅花藻は滋賀の地蔵川では、流域500メートルの範囲に群生していて、初夏から晩秋にかけて、小さな白い花を咲かせます。
水の流れに沿って、這うように、1m前後育ち、葉っぱは浮かんでるような葉っぱではなく、水の中に、糸状に分かれた緑色の葉を付けます。
白い花は、花びらが5枚あって、水の上で開花、大きさは1.5cmくらいです。
キンポウゲは虫媒花と言って、虫(主に昆虫)を媒介にして受粉するお花だけど、バイカモもそうなのか気になりました。
私は食べていないけれど、食用にもなるみたいですが、都道府県別レッドデータブックにも指定される植物ですので、大切にお花見を楽しみましょう。